img

地域に溶け込むクリニックデザイン—弥生が丘【佐賀】「ごんどう皮膚科クリニック」の設計事例

地域に溶け込むクリニックデザイン—弥生が丘【佐賀】「ごんどう皮膚科クリニック」の設計事例

「ごんどう皮膚科クリニック」は、佐賀県鳥栖市弥生が丘町に位置する新興住宅地に建設されたクリニックです。このエリアは1990年代に開発が進められた場所で、周辺には整然とした住宅街や商業施設が立ち並びます。特に近隣にあるアウトレットモールには年間500万人以上が来場し、週末には多くの県外ナンバーの車両が行き交うほど、活気に満ちたエリアです。

このように、街の発展が著しい環境の中で、建築家としてどのようにしてこのクリニックが地域の一部となり、患者や住民に愛される存在となるかを考える必要がありました。本記事では、「ごんどう皮膚科クリニック」の設計コンセプトや、その背景にある考え方を詳しく紹介し、特に福岡・佐賀エリアでクリニックや医院の設計をお考えの方に向けて、クリニック設計における重要なポイントをお伝えします。

 

1. 建築が地域の「アイコン」になるということ

クリニックが建設された佐賀県鳥栖市弥生が丘町は、街としての成長が今なお続いている新興住宅地です。周囲には整然とした住宅街や商業施設が立ち並び、特に隣接するアウトレットモールが地域のランドマークとして機能しています。このような活発な環境の中で、新たに建設される「ごんどう皮膚科クリニック」が単なるシンボルやランドマークではなく、地域に溶け込みつつも存在感を放つ「アイコン」となることが目指されました。

「アイコン」としての役割を果たす建物とは、その存在自体が地域の風景に自然に溶け込みながらも、訪れる人々に強い印象を残すような建物のことを指します。地域に根ざしたデザインを持ちながらも、独自の特徴を持ち続け、建物自体が人々の記憶に残る存在になることを目標としています。

2. 敷地条件を活かしたピロティ構造の採用

このプロジェクトでは、敷地の制約に対応するためにピロティ構造が早い段階で決定されました。クリニックが立地する場所は、クライアントの親族が所有するテナントビルの駐車場でした。このため、駐車スペースの確保は最優先事項の一つでしたが、それと同時に、診療所としての機能を最大限に発揮できるような空間設計が求められました。

ピロティ構造を採用することで、建物の1階部分を駐車場として活用し、駐車台数を減らすことなく、2階に診療スペースを配置することができました。この設計により、敷地の制約に対応しつつ、患者やスタッフの動線をスムーズに確保することができました。

3. 回廊型プランによる動線の最適化

「ごんどう皮膚科クリニック」では、患者とスタッフの動線が効率的に機能するように回廊型のプランが採用されました。診察室を回廊で囲むことで、患者が診察室にスムーズに移動できるだけでなく、待合室から診察室への移動がシンプルで分かりやすい動線となっています。

また、クリニックにおいては、医師が効率よく複数の診察室を移動できることが重要です。複数の診察室をコンパクトに配置し、回廊型の動線を確保することで、医師が無駄な移動をせずに診察を行うことができ、医療の効率を最大化しました。

4. ヴォールト天井と自然光を活用した診察室のデザイン

診察室の配置は建物の中心部に位置し、外部に面していないため、通常は自然光を取り入れることが難しい配置です。しかし、設計段階でこの課題を解決するために、診察室にはヴォールト型の天井を採用し、ハイサイドライトから自然光を取り入れる工夫が施されました。

ヴォールト型の天井は、単に自然光を取り入れるだけでなく、空間に広がりをもたせる役割も果たしています。診察室が明るく開放的な空間であることは、皮膚科に訪れる患者にとって大きな安心感をもたらします。肌や外見に関する悩みを抱えて訪れる患者が、明るくリラックスした環境で診察を受けることで、心理的な負担が軽減されるのです。

5. ヴォールトの輪郭が描く、地域の新たな風景

「ごんどう皮膚科クリニック」の外観デザインの特徴は、連続するヴォールト型の屋根にあります。このヴォールト型の輪郭が、周囲の山並みや整った街並みに調和し、クリニックが地域の新たな景色を形成する存在となっています。

このデザインは、単に目立つためのものではなく、周囲の自然環境や街並みに馴染みながらも、クリニック自体が人々の記憶に残るような「アイコン」としての役割を果たすことを意図しています。建物の曲線的な形状が地域の風景と融合し、訪れる人々に強い印象を与えることを目指しています。

6. 福岡・佐賀でクリニック設計をお考えの方へ

福岡や佐賀エリアでクリニックの設計を検討されている方にとって、適切な設計事務所の選定は非常に重要です。クリニック設計には、機能性とデザイン性のバランスが求められるだけでなく、地域の特性や周囲の環境に配慮した設計が重要です。

「ごんどう皮膚科クリニック」のように、地域に根ざしながらも独自のデザイン性を持つクリニックを設計することで、単なる診療所以上の価値を持つ建物が生まれます。地域の風景に溶け込み、訪れる患者や住民に愛されるクリニックは、その存在自体が地域社会に貢献するものとなるのです。

私たちは、福岡や佐賀エリアで地域密着型のクリニック設計を行い、機能性とデザイン性を両立させた最適なプランを提供します。患者やスタッフが快適に過ごせる環境づくりに努め、医療効率の向上と、地域に根ざしたデザインを両立させたクリニック設計をお手伝いします。