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「時を刻む美しさ—柳川の風景に溶け込む矯正歯科医院のデザイン」

地域の風景と調和する、心地よさを追求した空間デザイン

~柳川市の「なかしま矯正歯科医院」の設計について~

福岡県柳川市に建設された「なかしま矯正歯科医院」は、地域の風景と調和し、患者にとって居心地の良い治療空間を提供することを念頭に置いた設計が施されています。矯正歯科という専門性の高い医療施設でありながら、従来のクリニックの概念を覆すような空間作りを目指しました。このプロジェクトにおける設計のポイントや意図、そして完成した建物が地域にもたらした影響について詳しくご紹介いたします。

 

1. 敷地の背景と地域との調和

「なかしま矯正歯科医院」の敷地は、幹線道路の建設に伴う土地区画整理事業により整備されたエリアに位置しています。このため、周囲には新たな建物が建設され、地域全体の風景が変わっていく過程にあります。そんな中、院長からは「長年この地にあったかのように自然に馴染む建物でありながら、クリニックとしての機能性をしっかりと保持すること」という要望がありました。

この土地はこれからの街づくりが進むエリアであり、新たに設置される建物は地域の景観形成に寄与することが期待されています。そのため、私たちはこのクリニックの建物が、地域全体の雰囲気や風景と美しく調和することを目指しました。具体的には、周囲の住宅や施設と同様のスケール感を保ちつつ、独自の個性を持ったデザインを採用しました。

2. 自然光と大らかな屋根が作り出す心地よい空間

「なかしま矯正歯科医院」の建物は、シンプルながらも存在感のある大らかな屋根が特徴です。この屋根は、外観からは一見平凡に見えるかもしれませんが、内部に入るとそのダイナミックな勾配天井が広がり、開放感をもたらします。屋根の形状がそのまま室内に反映されているため、天井の高さや角度が視覚的な広がりを生み出し、患者が自然にリラックスできる空間が実現しました。

特に、待合室と治療室は一つの大きな空間として設計されており、勾配天井がその場に一貫した統一感をもたらしています。空間を支える構造材は、視覚的には分割されていないワンルームの空間でありながら、程よい距離感を生む役割を果たしています。これにより、待合室や治療室にいる患者がそれぞれのスペースで心地よく過ごせるようになっています。

さらに、待合室には大きな窓を設け、自然光がふんだんに降り注ぐ設計としました。光が差し込むことで、室内に温かさと明るさが加わり、患者の緊張を和らげる効果があります。矯正治療は通常長期間にわたる治療であるため、患者が診療所内で過ごす時間が多くなります。そのため、治療を待つ時間も快適で、落ち着ける環境が重要だと考えました。

3. 機能性とデザインの融合

矯正歯科医院としての特性から、院長は「機能性はもちろんのこと、審美的な要素も大切にしたい」との希望を持っていました。これは、矯正歯科が美しい歯並びを提供するという特性に関連しています。患者が訪れるクリニック自体が審美的で、快適な空間であることは、治療への信頼感を高める要因にもなるのです。

待合室は落ち着いた色合いのインテリアでまとめられ、治療室へと続く空間も統一感を持たせています。また、矯正治療は緻密な作業が求められるため、治療室は天井を高くし、十分な自然光が入るように設計しました。これにより、医師とスタッフが効率よく作業できる環境を整えると同時に、患者が圧迫感を感じることなくリラックスして治療を受けられる空間を実現しました。

待合室から治療室へと続く導線にも工夫が施されています。例えば、治療室はパーティションで区切られていますが、完全な個室ではなく、半個室の設計にすることで、空間全体の広がりを感じさせる一方で、患者それぞれがプライバシーを確保できるようにしています。このように、機能性とデザイン性を両立させることが、このクリニックの大きな特徴です。

4. 地域の景観をリードする役割

「なかしま矯正歯科医院」の建物は、地域に新しい風景を作り出す存在としても大きな意味を持っています。土地区画整理事業が進む中、地域の中心的な施設としての役割を担うこのクリニックは、大きな白い屋根が象徴的で、地域の新しいランドマークとなることが期待されています。

このように、地域との調和を図りつつ、クリニックとしての機能性とデザイン性を両立させた「なかしま矯正歯科医院」の設計は、多くの患者や地域住民に愛される空間として長く機能していくことでしょう。

 

福岡と佐賀で矯正歯科医院を開設・改装したいとお考えの院長先生へ、私たちは地域に根ざした建築設計事務所として、患者さまにとって快適で機能的な空間作りをお手伝いしています。矯正歯科医院は、一般の歯科医院とは異なり、長期間にわたって患者さまと密接な関係を築く場所です。そのため、患者さまがリラックスして治療を受けられる空間や、院長先生の治療理念を反映したデザインが重要です。今回は、当社が設計した事例をもとに、矯正歯科医院の設計における重要なポイントをご紹介します。

1. 機能性と快適さを両立させた設計

矯正歯科医院は、治療期間が数年にわたることもあり、患者さまが何度も訪れる場所です。そのため、治療室や待合室の快適さが、患者さまの治療に対する満足感に大きく影響します。私たちが設計した矯正歯科医院では、待合室に自然光を取り入れ、温かみのある空間を作ることで、患者さまが治療前にリラックスできる環境を整えました。また、治療室は広々としたレイアウトにすることで、患者さまが緊張せずに治療を受けられるよう工夫しています。

さらに、矯正治療においては精密な作業が求められるため、院内の動線や照明計画が重要です。院長先生の作業効率を高め、患者さまにも快適な空間を提供するために、治療室の配置や照明を細かく調整し、無駄のない動線を実現しました。

2. 審美的な要素を取り入れたデザイン

矯正歯科医院は、患者さまが美しい歯並びを求めて訪れる場所です。そのため、医院自体が審美的に美しく、落ち着いた雰囲気を持つことが重要です。私たちは、院長先生のご要望に基づき、シンプルでありながらも上品さを感じさせる内装デザインを提案しています。例えば、待合室には木目調のインテリアや落ち着いた色合いの家具を配置し、患者さまが安心感を持てるような空間を演出しました。

また、治療室には高い天井を設け、開放感を感じさせるデザインを採用しています。これにより、患者さまが長時間の治療を受ける際にも圧迫感を感じることなく、リラックスして過ごせる空間を提供しています。

3. 地域と調和したデザイン

福岡や佐賀などの地域では、医院の外観や立地が周囲の環境にどのように溶け込むかも重要な要素です。私たちは、地域の景観や文化に配慮しつつ、クリニックが目立ちすぎず、それでいて印象に残るデザインを心がけています。例えば、敷地の周囲に広がる自然や街並みに調和した外観を意識し、大きな窓を使って自然光を取り入れ、外部とのつながりを感じさせるようなデザインを採用しました。

地域に根差した設計事務所として、私たちはその土地の特性や文化を深く理解し、院長先生と協力してクリニックが地域社会にとっても愛される存在となるような設計を目指しています。

4. 院長先生の思いを形にする設計プロセス

私たちが特に大切にしているのは、院長先生との密なコミュニケーションです。矯正歯科医院は、院長先生が長年の経験や診療方針に基づいて築き上げてきた理念が反映されるべき空間です。そのため、私たちは院長先生のご要望や治療理念をしっかりとヒアリングし、それをデザインに反映させることを心がけています。

例えば、ある院長先生は「患者さまが長い時間過ごす場所だからこそ、居心地の良さにこだわりたい」という強い思いを持っていました。そのため、私たちは待合室や治療室に使用する素材や家具選びに細心の注意を払い、患者さまが安心して治療に臨める空間をデザインしました。このように、院長先生の思いを形にすることが、私たちの設計プロセスの中で最も重要なポイントとなります。